股関節の痛み
股関節の痛み

股関節の痛みや違和感は、歩く・立つ・座るといった日常の基本動作に深く関わるため、生活の質に大きな影響を及ぼす症状です。
体重を支える重要な関節であることから、わずかな不調でも動作時の痛みや違和感として現れやすく、進行すると歩行や階段の昇り降りがつらくなることもあります。
原因としては、加齢による関節の変化や軟骨のすり減り、筋力低下、姿勢や体の使い方のクセ、スポーツや外傷などさまざまです。特に女性では、股関節の構造的な特徴により負担がかかりやすい場合もあります。
また、初期は「足の付け根の違和感」や「動き始めの痛み」といった軽い症状から始まることが多く、気づかないうちに進行してしまうケースも少なくありません。
股関節の症状は、早期に適切な評価と対応を行うことで、進行の予防や改善が期待できる場合が多くあります。違和感や軽い痛みの段階でも、お気軽にご相談ください。
4歳から10歳くらいのお子さんに多く、症状は膝から太ももが痛くて歩けない、特に朝方が痛い、などです。痛みのため学校、保育園をお休みになって午前中にクリニックに来院されることが多いです。診断は股関節に圧痛があり、股関節を動かしたとき痛みを認め、かつレントゲンで異常がなければ、単純性股関節炎と考えます。似た疾患でペルテス病、大腿骨すべり症などがあり、安静で痛みの改善がなければ、これらの疾患も考慮します。治療は安静にしているだけで、1週間程度で痛みが改善します。
股関節は足の付け根にある大きな関節です。太もも側の大腿骨頭(だいたいこっとう)が、骨盤側のお椀の形状をした寛骨臼(かんこつきゅう)にはまり込み、大腿骨と骨盤をつないでいます。寛骨臼と大腿骨頭の表面は軟骨に覆われ、その周りは関節包に包まれています。
変形性股関節症は、先天性の疾患や外傷によって関節に過度な負担がかかり、軟骨の破壊や軟骨と骨に変形が起きる疾患です。多くは、先天性股関節脱臼や先天性臼蓋形成不全などの発育性股関節形成不全が原因となりますが、加齢変化や体重増加によって発症するケースもあります。女性に多くみられる疾患です。
関節軟骨がすり減ることで炎症が起き、初期には立ち上がりや歩き始めに足の付け根に痛みを感じます。足の爪切りができない、靴下が履きづらい、正座や和式トイレが困難といった支障を来すこともあります。進行すると痛みが強くなり、持続痛や夜間痛(夜寝ていても痛む)が現れてADL(日常生活動作)障害も大きくなります。
関節の変形の進行度は、前期・初期・進行期・末期に分類されますが、股関節の可動域や痛みには個人差があります。変形が進んでいたとしてもすぐに手術が適応されるわけではなく、痛みの程度や生活面での不自由さを考慮しながら治療を選択します。痛みが少なく、日常生活にも不自由がない場合は、保存的治療を選択し、股関節周囲の筋肉を鍛える運動療法が中心となります。炎症や痛みを抑える薬剤を用いることもあります。保存的治療で改善しない場合、骨を切って股関節を整える骨切り術や、股関節をインプラントに置き換える人工股関節置換術が検討されます。このような手術を検討する際は、手術後のライフスタイルについて担当医と十分話し合うことが大切です。
先天性股関節脱臼とは、生下時もしくは生下後に大腿骨と骨盤の位置関係が悪く、股関節が脱臼をしている状態を指します。「先天性」という名前がついていますが、実際には後天的な要素でも脱臼が生じることもあるため、2017年現在では「発育性股関節形成不全」という名称が広く使用されています。
先天性股関節脱臼が診断されずに放置されると股関節の成長が障害されます。また治療が適切に行われなければ、股関節の変形を起こし長期的な機能障害につながる恐れもあります。そのため、乳児健診などを通して病気を早期に発見し、治療介入を行うことが重要です。
先天性股関節脱臼は、症状の程度やみつかった時期によって治療法が異なります。股関節が柔らかい乳児期にみつかった場合は、股関節を正常な位置に保つように、生活指導で治していきます。それでも改善がみられない場合は、乳児にリーメンビューゲルという装具を装着するリーメンビューゲル法や、乳児をベッドに固定して脚を引っ張る牽引法によって、脱臼の整復および正常な股関節の形成を促します。
また、程度によっては、痛みなどの症状が出ていなくても、大人になってから症状が出る可能性が高いため、筋力や傷の回復力も考慮して早期の手術を検討することがあります。
また、先天性股関節脱臼は後天的な環境因子が誘因となって発症することもあります。したがって、発症予防の観点から、日常生活において注意すべき点も出てきます。たとえば、抱っこやおんぶの際にはお子さんの脚が開いた状態を保つことが重要です。また股関節に対してきついオムツや服は股関節の自由な運動を阻害してしまうために避けるよう指導が行われます。
大腿骨骨頭を受けている腸骨関節窩の一部に臼蓋という部位があります。この臼蓋が小さく大腿骨骨頭のはまりが浅いと、股関節は不安定で関節軟骨は慢性的なメカニカルストレスを受けることになります。その結果、若年者で股関節が変形し、人工関節置換術を余儀なくされることがあります。臼蓋形成不全はレントゲンですぐにわかる疾患であり、変形性股関節症に至らぬように生活指導を早めにすることで予防ができる疾患です。
股関節の臼蓋に付着している関節唇が損傷することで、歩いているとき、立ち上がるときなど股関節が痛い、抜ける感じがする、ひっかかりがあるなどの症状を認めます。また床に座るときなどに股関節が痛くて座りにくい、股関節がうまく動かないなどの症状が出現するときもあります。レントゲンでは大腿骨頸部や臼蓋に骨硬化像という異常所見を認めることがあり、間違ったストレッチや運動で症状を悪化させることがあります。進行すると股関節が変形し、人工関節置換術の適応になることもあるため、早期に診断することが大切です。
大腿骨骨頭が壊死する疾患で股関節痛、歩行障害を認めます。糖尿病、肥満、アルコールの摂取、喫煙など血管障害を起こす病気をもっている人がなりやすい疾患です。治療は原因となっている病気の治療と人工関節置換術が一般的です。
股関節の浅い部位に鼠径靭帯という索状物があり、腸腰筋、大腿静脈、動脈、神経などが、その深層を走行しています。腸腰筋の発達や太って腹部が出っ張ることで、鼠径靭帯との摩擦が起こり、炎症が引き起こされることがあります。レントゲンでは異常なく、触診で診断することができます。
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