肘の痛み
肘の痛み

肘の痛みは、日常生活の動作やスポーツ、繰り返しの負担によって起こることが多い症状です。
物を持つ、ひねる、腕を伸ばすといった何気ない動作でも負担がかかる関節であるため、一度痛みが出ると長引きやすい特徴があります。
特に、パソコン作業や家事、スポーツなどで同じ動作を繰り返すことにより、筋肉や腱に過度な負荷がかかり炎症が生じるケースが多くみられます。また、加齢による関節の変化が原因となることもあります。
軽い違和感の段階で適切な対応を行うことで、症状の悪化や慢性化を防ぐことが重要です。
これらの症状は、使いすぎや関節の変性、成長期特有の障害などが関係している可能性があります。
加齢や長年の使用により、肘関節の軟骨がすり減り、関節に変形が生じることで痛みや動かしにくさが現れる疾患です。スポーツや力仕事を長期に渡りされてきた男性に多いです。
普通、肘関節は伸ばすとやや反った状態となり、曲げると自分の同じ側の肩に手が届きます。しかし肘関節が変形すると、増殖した骨が邪魔をして、真っすぐ肘を伸ばせず、曲げるときも同じ側の肩に手が届きません。動かしたときに引っかかるような感覚や違和感を伴うことがあります。さらに進行すると肘関節が腫れて痛くなり、関節水が溜まることがあります。少し重いものを持ち上げるだけで痛くなり、変形が重度になると手が口に届かなくなります。このような状態では食べ物を口に運ぶとき、顔を前に出して食べ物を口まで運ぶことになります。
薬物療法やリハビリテーションによる保存療法を基本とし、症状の程度に応じて関節内注射や手術を検討することもあります。
テニスをする方に多いことから「テニス肘」とも呼ばれますが、実際には家事やデスクワークなど日常生活の動作でも発症します。
タオルを絞る、物を持ち上げる、ドアノブを回すといった動作で痛みが出やすいのが特徴です。
肘の外側にある腱に繰り返し負担がかかることで微小な腱付着部の損傷が起こります。骨と腱の付着部は4層の移行部があり、その中でも2層目と3層目である軟骨層が微小損傷します。損傷しても安静により自然に損傷は治癒し再結合するわけですが、毎日毎日、日常動作が繰り返され、治癒できずにメカニカルストレスが繰り返されることで損傷部分が大きくなり、炎症が生じ、痛みを引き起こす疾患です。痛みが出現した時点で腱付着部軟骨層の損傷は進んでおり、数か月の治療が必要になることが多いです。レントゲンでは肘の痛いところの骨に骨棘(骨のとげ)が形成され腱の一部が骨に置換されていることがあります。そのようなケースでは症状がなくとも腱付着部は慢性的に微小損傷しており、その損傷部が石灰化(骨化)することで、痛みがでないようにやり繰りしてきた跡だと分かります。それでもさらに繰り返し慢性的なストレスを腱付着部に与え続けると、軟骨層の癒合も骨化もできずに、損傷部分は傷として残り炎症を起こし続けることになります。
治療は炎症からきている痛みに対して積極的に炎症を除去するために、抗炎症薬の内服、ステロイド注射、ヒアルロン酸注射を行っていきます。リハビリでは損傷部の軟骨層の癒合、骨化を促進するために超音波治療を行います。また硬くなっている責任の腱・筋肉である橈側手根伸筋をストレッチして腱付着部にかかる牽引力(メカニカルストレス)を軽減し、新たな損傷を予防します。損傷が大きくなり、保存的には疼痛が改善しない場合は損傷部を切除して炎症が起こらないようにする手術や、損傷部が元気な組織であれば縫合して治癒させる方法があります。
投球動作の繰り返しによって肘に過度な負担がかかり、骨や軟骨、靱帯などに障害が生じる状態です。
特に成長期の子どもに多くみられ、初期は投球時のみの痛みですが、進行すると安静時にも痛みが出ることがあります。
欧米では練習・試合に厳格な投球制限があるため発症が少ないですが、日本ではまだまだ過剰な投球練習、試合での連投など、肘を痛める機会が多いようです。
野球肘には内側・外側型・後方型があります。
内側型は肘の内側に出っ張った内側上顆に腱が付着しており、成長期の柔らかい骨を牽引して成長線(骨端線)を損傷するため起こります。成長線の損傷とはレントゲンでは剥離骨折の状態で、損傷した部位に剥離骨折の痛みと、微小な骨端線(軟骨層)の損傷による炎症の痛みが起こります。損傷の痛みは主に投球時の牽引されたメカニカルストレスで引き起こされますが、炎症の痛みはそのようなストレスが無くても起こります。炎症は微細な損傷が起こり不要になった老廃物を吸収・除去し、さらに損傷部位を癒合、線維化して結合する働きがあるため組織にとって必要なプロセスです。しかしこの時期は炎症により組織が脆弱になっているため無理をすると、損傷が大きくなり不可逆的な状態に進行していく可能性があります。
外側型は肘の外側(親指側)にある、上腕骨小頭の軟骨・骨が損傷することで起こります(離断性骨軟骨炎)。投球時に上腕骨小頭と橈骨頭が衝突するのですが、この衝突が短期間に過剰に起こることで疲労して壊れることがあります。骨どうしが衝突していますが骨頭の表面は軟骨で覆われ、痛み神経のない軟骨は衝突しても痛みが無く、損傷しても初期段階では痛みなどの症状が現れにくくなっています。微細な損傷による老廃物が多くなってくると、それらを吸収・除去するために炎症(肘関節炎)が起こり、重だるさ、熱感、腫脹といった症状が現れてきます。この段階で数か月の肘の安静が保持できれば、損傷部位は治癒しやすいですが、レントゲンで軟骨下骨の損傷が分かるレベルまで進行すると、保存的に治癒させることが難しくなってきます。
後方型は肘の後ろ側の肘頭部の骨棘という骨の出っ張りができて、肘を真っすぐ伸ばした時に伸ばしきれない状態になります。投球時に肘の後ろで肘頭と肘頭窩(出っ張りと窪み)が衝突し、骨組織が微細に損傷しますが、過剰な投球と繰り返す損傷により過剰に再生して骨棘(骨のとげ)となります。骨折と違いゆっくり進行するため、初期の段階ではあまり痛みがなく、静かに進行していきます。やがて肘を最後まで伸ばすことができなくなり、肘関節、上肢の柔軟性、鞭打つような『しなり』を失い、速いボールを投げることができなくなります。
投球の中止や制限を基本とし、リハビリテーションやフォームの見直しを行います。状態によっては手術が必要になる場合もあります。
肘の痛みは、日常生活やスポーツにおける「使いすぎ」が大きく関係していることが多く、適切な休息とケアが重要です。
しかし、痛みを我慢して使い続けることで炎症が悪化し、回復までに時間がかかるケースも少なくありません。また、成長期の障害や関節の変形が関係している場合には、専門的な評価が必要になります。
当院では、問診や診察を通じて原因を丁寧に見極め、症状や生活スタイルに合わせた治療をご提案いたします。リハビリテーションや生活指導も含め、再発予防までしっかりサポートいたします。
「少し違和感がある」「使うと痛む」といった初期の段階でご相談いただくことが、早期改善への近道です。気になる症状がございましたら、お気軽にご来院ください。
TOP